印刷やコピーを依頼する際、1色または4色印刷を選ぶことが一般的に多いと思いますが、この2種類のほかに特色と呼ばれる印刷カラーがあることはあまり知られていないと思います。ネットプリントでは対応する印刷会社は少ないのですが、チラシデザインの表現の可能性をさらに広げてくれる技術ですので、この特色について少しご紹介します。
カラー印刷はオフセット印刷、オンデマンド印刷のどちらも基本的にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色で成り立っています。PhotoshopやIllustratorでオブジェクトの色を選択する際、CMYKカラーのバーに切り替えることでそれぞれの割合を決めることができますが、
特色はこのCMYKの4色では再現できない特殊な色になります。有名な特色で「DIC」「TOYO」「PANTONE」と呼ばれるパレットが存在し、それぞれの色に番号・名称がついていることが特徴です。
特色になぜDICやPANTONEといったさまざまなパレットがある理由ですが、この名称はインキを提供するメーカーを指していて、DICは「DIC株式会社」、PANTONEは「パントーン社」そしてTOYOは「東洋インキ製造」のことであり、特色インキを提供しているこれらのメーカーは日本に限らず世界共通で使用されているのです。これらのメーカーが提供する色は互換表もなく、それぞれにしか表現できない特色ですので、パレットがDIC、PANTONE、TOYOというように分かれているのはそのためです。
ネット印刷の登場ですっかり1色と4色の値段の違いがあまり感じられなくなりましたが、以前、カラー印刷には大きな料金の差がありました。新聞折込チラシでよく見かける2色刷りのスーパーチラシの訳はこのコストカットが理由で特色が利用されています。大部数印刷なら4色より2色の方が安くすむだけでなく、特色ならではの持ち味でデザイン表現することができます。
また、特色はロゴマークなどのコーポレートカラーの色指定にも役立ちます。複数の印刷会社にチラシ印刷を依頼されている方ならお分かりだと思いますが、同じデザインデータにも関わらず、印刷の色仕上がりに大きな違いが出ることがあります。この印刷色の違いを管理するためにも特色指定が使用されています。
そのほか、特色は雑誌の表紙や販促ツール、商品パッケージにも使用されており、蛍光色、金や銀色は単純に4色だけでは表現できない特色ならではの特徴は今も重宝されています。
特色はチラシデザインの表現の幅を広げてくれる技術ですので是非トライしていただきたいと思います。しかしながら、一部の特色インキに対応していない印刷会社もありますので、チラシデザインを作り始める前に一度印刷会社に相談する方が良いです。